Glossary ・ 用語 ・ 紙片の日本史
防諜(ぼうちょう)とは
秘密を守る側が、まず自分の学生に聞き取る
意味
防諜とは、自分の側の秘密が外に漏れないようにすることです。
敵の秘密を取りにいく「諜報」と対になる語で、取られないようにするのが防諜にあたります。
昭和十五年(一九四〇年)、東京に秘密戦の学校がつくられました。正式には後方勤務要員養成所といい、「陸軍中野學校」という名前は、この年の紙の上では括弧の中にしか出てきません。
この学校がまずやったことの一つが、自分たちの秘密がどこまで漏れているかを測ることでした。
仕組み
- 秘密の等級。紙そのものに、扱いの重さが書かれます。「秘」「極秘」「軍極秘」「軍機」。中野学校の綴では、学生の選抜、防諜の規定、学生の名簿の削除が、いずれも軍極秘でした。
- 身元を調べる。選ばれた者は、憲兵司令部が調べます。中野学校の紙には「目下憲兵司令部ニ依賴嚴密ナル身元調査ヲ實施中ナリ」とあります。合格した百四十一名が、その対象でした。
- 言葉を替える。紙の上で、そのものの名前を使いません。この学校の紙は、諜報員を「特種勤務要員」「後方勤務要員」と書き、教育を「特別教育」と書いています。
紙片との接続「防諜上適當ナラス」
中野学校の選抜の綴に、学生から聞き取った表が付いています。
受験した若者一人ひとりに、「この試験の話を、誰から、どう聞いたか」をたずね、学校ごとの欄にまとめたものです。
学生の答えが、そのまま書き写されています。
二 『特務機關ノ諜報ニ關スル件』トシテ一人宛呼ハレテ希望ヲ取ル
『チベット』『印度』等ニ行クノダガト總務課長云フ
『君ハ將來情報部ニ廻ルカモ知レヌ』ト云ハル
そして答えの横に、学校からの評が入ります。
稍々本人ニ云ヒ過キルノ感アリ
(學校内ニテ相當銓衡シタルハ可ナルモ)防諜上適當ナラス
言い過ぎた学校には、そう書き込まれました。
防諜とは、この場合、外の敵に対してではなく、これから入ってくる自分の学生に対して測られたものでした。
この言葉が出てくる紙片
- 陸軍中野学校(昭和15年・選抜/「防諜上適當ナラス」・「陸軍中野学校防諜假規定」)
(今後、この語が出てくる紙片が増えるたび、ここに加わります。)
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