Glossary ・ 用語 ・ 紙片の日本史
勤番(きんばん)とは
——江戸詰めの単身赴任。だから、めしの話ばかりになる
意味
勤番とは、藩の武士が、国もとを離れて江戸などの藩邸に一定期間詰めて勤めることです。
家族は国もとに置いたまま、男だけで長屋に暮らします。今でいう単身赴任です。酒井伴四郎は紀州藩の武士として、この勤番で江戸に出ました。
戦前の辞典にも、この言葉は載っています。「勤番=江戸幕府の世、大名の臣が、主君の参観に従ひて江戸に出づることをいへり」(『最新歴史辞典』)。当時は勤番侍という呼び方もありました。
出典:『最新歴史辞典』/『上野公園御下賜記念図画展覧会陳列品目録』(幕末の勤番侍)=いずれも国立国会図書館デジタルコレクション(インターネット公開)の全文で確認。2026年8月。
仕組み
- 交代で詰める——藩士は順番に江戸の藩邸へ送られ、一定の期間を勤めて国もとへ帰りました。
- 単身で暮らす——妻子は国もとに残ります。同僚や親類と長屋で共同生活を送りました。
- 自分で炊く——身のまわりのことは自分でします。買い、煮て、食べる。その記録が日記に残りました。
だから「めしの話ばかり」になる
伴四郎の住まいは赤坂・紀伊国坂の藩邸長屋。叔父と、同僚の大石直助と、男三人暮らしでした。炊事は直助と一日交代です。日記には、こうあります。
江戸着以来、直助之焚飯者、始終粥めし。予焚飯者、始終強めし。(江戸に着いてからずっと、直助の炊く飯は粥のよう、おれの飯は固い。)
日記が食べ物の話で埋まっているのは、彼が食いしん坊だったからだけではありません。自分で暮らしを回していたからです。何を買い、いくらで、誰と食べたか——それがその日にあったことそのものだったのです。
出典:日記10/29条=江戸東京博物館調査報告書 第23集 p.86(37) の翻刻で突合(超詳細版③)。
この言葉が出てくる紙片
- 酒井伴四郎(紀州藩・江戸勤番/万延元年の日記)
(今後、勤番の紙片が増えるたび、ここに加わります。)
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