Glossary ・ 用語 ・ 紙片の日本史
俘虜郵便(ふりょゆうびん)とは
——検閲つきの葉書。書ける日本語と、書けない日本語の境目
意味
俘虜郵便とは、捕虜となった人が家族とやりとりするために認められた郵便です。
書く枠が決まっていて、検閲があります。何を書いてよいかが、あらかじめ決まっている——つまりこの葉書は、言いたいことを書く紙ではなく、書いてよいことを書く紙でした。
仕組み
- 枠がある——決められた用紙に、決められた分量で書きます。
- 検閲がある——内容は検閲を受けます。差し障りのある記述は届きません。
- 時間がかかる——届くまでに長い時間がかかり、返事はさらに遅れます。
枠の中で書く、という書き方
枠と検閲があるということは、読む側にも作法が要るということです。そこに書かれていることは、書きたかったことと同じとは限りません。書かれなかったことも、同じだけ意味を持ちます。
それでも人は、限られた枠の中で、伝わる書き方をさがしました。制限があったという事実ごと読む——というのが、この種の紙片の読み方です。
この言葉が出てくる紙片
シベリアの収容所から山本幡男が家族に送った葉書は、この俘虜郵便でした。片仮名と漢字だけで、書き出しはいつも同じ。書けなかったことは、蔵のページで辿れます。
紙は、持ち出せなかった——山本幡男の九年と、四千五百字の遺書 →
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